「うどん」「きしめん」共にほとんど同じ工程ですが、「きしめん」は最後の延しが薄く切り幅が広いのが特徴です。
今回は「きしめん」を小麦粉の状態から、出来上がりまでをご紹介します。
「きしめん」の由来には色々な説があり、具に「雉子(きじ)の肉」を使ったとか、「紀州の人」が作ったとか、「三河の芋川名物ひらうどん」とか、言い伝えられていますがその真実の程は解明されていません。
いずれにしましても「きしめん」は名古屋名物として、今も守り続けられています。
今回は「きしめん」を小麦粉の状態から、出来上がりまでをご紹介します。
「きしめん」の由来には色々な説があり、具に「雉子(きじ)の肉」を使ったとか、「紀州の人」が作ったとか、「三河の芋川名物ひらうどん」とか、言い伝えられていますがその真実の程は解明されていません。
いずれにしましても「きしめん」は名古屋名物として、今も守り続けられています。
きしめん(うどん)は小麦粉を塩水でこねることから始まります。小麦粉は手打麺用粉を使い、塩水は濃度の高いのを使いますが、
季節によって冬は低く、夏は高く、加水量も季節や天候により変えます。平均45%~48%位で作られます。
こね鉢に小麦粉を入れ、加水は一度に入れず、粉をかきまぜながら、最初は8分目位入れ、残りは水分の少ない所に打ち水をします。
手前、中央、奥の順に両手の手のひらで粉をすり合わせる様にし、こね鉢の底にも充分手を入れ、水分が均等に行きわたる様にします。
水分が充分に行きわたったら、こね鉢の手前に集めて押し固め、こね鉢の斜面を利用して少しづつ握り、力を入れねり込みながら、交互に前方へ積み重ね、この動作をくり返します。
全体が積み上げられたら、げんこつでまんべんなく突き固め、表面を平らな生地にします。
出来上がった生地を裏返して、手前から巻く様に折り曲げて鉢の中央に置き、再びげんこつで突いて、表面を平らにまとめ上げます。
足踏みは手では出せなかった強い力を、身体の重みを利用して足を通して生地にかけるためです。
この作業は小麦粉と塩水が混ざり合うのを促進させると同時に形成されたグルテンをより強靭なものにする効果があります。
※グルテンとはタンパク質の一種。水でこねるとグルテンが生成され粘りが出る特徴がある。
生地を、ビニールシートの上に置き、その上からビニールシートをかぶせて、一回目の足踏みをします。かかとに体重をのせて、外へ押し出す様に、又外から内にと身体を移動し回転しながら踏み延ばします。
踏み終えた生地は裏返し、巻きつけて円筒状にして、二回目の足踏みをします。平らな状態になったら、再び生地を巻きつけて円筒状にします。
三回目の足踏みをすると、長方形に近い状態になってきます。
踏み終えた生地を延ばす時の一玉分の分量(約1kg)に計り「はま」を作る作業で、足踏みからちぎり出しに掛かるまでには、
約1時間位は寝かせ(熟成)ます。生地の表面が乾燥しない様に、「かめ」又は「ビニール袋」に入れて保存します。
踏み上った生地を麺台に上げて、6等分(粉の量によって異なる)に切り分けます。
四角に切り分けた生地を、足踏みで出来た層ごとにはがし、ちぎり出して行きます。
はがした薄い生地を何枚か積み重ね、1kgに計量しげんこつで押し固めます。あまり強く押すと表面に傷が出来るので、気をつけましょう。
生地を裏返して、右手で先端を内側に織り込むように持って来て、左手の手の平でねり込みながら押え込みます。又次の先端を押え込んで行きます。
内側へねり込み、左側へ回転させながら、団子状に仕上げましょう。出来上がったら裏返し、手の平で押えつけて形を整えます。
団子状にし再び寝かし、かめに入れて、約1~2時間位寝かせます。乾燥しないように、かめにはぬれ布巾をかけ蓋をします。
団子状の生地を、「はま」に仕上げる最後の工程で、「へそ出し」とも言われ、表面をきれいに、最も円形に近い状態にする作業です。
ねかせた団子は熟成されて透明感のある薄い黄色味を帯びています。その団子を取り出し、前方の生地を中央に押し込み徐々に回転させ、右手の親指を使って、少しづつ左側にころがし、そのつど親指を中央奥に押し込み。左手は丸く形を整えるように添えていきます。
本まるけを終えた裏側の状態、親指で多方から押え込んだ跡が良く分かります。へその様にも見えることから、へそ出しとも言います。
本まるけが終えたら、再びかめに入れ一晩寝かせます。かめには乾燥しないように、ぬれ布巾をかけ蓋をします。
一晩ねかせた「はま」は、固く粘り気があるので、足で踏んで延します。
踏み延す作業で出来るだけ同じ円形に、同じ厚さに踏み上げることが大切です。
踏み延す作業で出来るだけ同じ円形に、同じ厚さに踏み上げることが大切です。
「はま」を麺台の上に並べて、打ち粉を振りかけ、三~四段に重ね、体重をかけて押えます。
※打ち粉とは、そば・うどんを伸ばす時に粘り付かないように振りまく粉。
※打ち粉とは、そば・うどんを伸ばす時に粘り付かないように振りまく粉。
上下を積み変え、中断には小さい「はま」を入れます。
ビニールシートにのせて踏む。
少し踏んだら再び積み変え、五~六段に重ねます。足のかかとを中央に置き、右へ左へと回転し、時々積み変えをくり返し、打粉をします。踏み終えたら、30分位寝かせます。
麺棒で延します。均等な厚さ、長方形に薄く延すことが大切です。
うどんの場合は、麺棒を6~8回巻き戻しますが、きしめんの場合は細い麺棒を使って8~10回巻き戻しを行います。
うどんの場合は、麺棒を6~8回巻き戻しますが、きしめんの場合は細い麺棒を使って8~10回巻き戻しを行います。
円形に踏み上げた「はま」を麺台にのせ、打ち粉を十分振り、手元から麺棒にしっかりと巻きつけます。
麺棒に巻きつけた「はま」を両手の手の平で押えつけ、体重をかけながらころがす様に前方へ押して行きます。
麺棒を反転させ、手元から前方へ広げます。再び手元から巻きつけ、前方へ押して行きます。
二回目の巻き戻しが終えたら半回転させ、左側から麺棒をころがし、しわにならないように「はま」をこすりながら横に広げます。
打ち粉をし、再び手元中央から巻いていきます。暫く延したら麺棒を反転させ手元から広げ、再び麺棒に巻きつけ延します。
四回目の巻き戻しが終えたら、手前左側から斜め前方に麺棒をころがし、広げると長方形になっています。
打ち粉をし、五回目に入ります。両手の手の平で平均に伸びているかを確かめながらもう一度繰り返し、横に広げて再度くり返し八回目作業をくり返します。
延し終えた「はま」に、はな粉(そばの実から出来た粉)を十分振り、半分に折りたたみます。
※はな粉とは、そばの実を殻付のまま石臼でひいて殻をむく時に出る粉。
※はな粉とは、そばの実を殻付のまま石臼でひいて殻をむく時に出る粉。
折りたたんだ「はま」の、中央から持ち上げ手前に引き、残りの中央から手前に引き、最後の部分を上に重ねます。上段になる程折り巾を狭くし、三段(屏風の様)に積み重ねます。
きしめんの幅は、約8~10mm位の広さに切ります。昔は竹ざおにかけましたが、今は生舟に入れ保存されることが多いようです。
屏風たたみし、はな粉を振りまな板に置きます。こま板に包丁をあてて切ります。切り幅は包丁の送り(包丁を下に切り落した時に、左側に傾けこま板を移動させる)によって決められます。
切り終えたら前方に麺棒を置き、上段の先端をつまみ前に広げます。
麺棒の両端を持ち上げて、手打ちきしめんの出来上がりです。